静岡県産材の家に暮らす

二世帯住宅といっても生活の場を分離しない

家は、地元の木で建てるのがいちばん。静岡県の中西部、大井川流域に位置する島田市に生まれ育ったYさんのご主人は、つねづねそんな思いを抱いていた。

「ここは古くから木の町として栄え、昔、父方の祖母も山仕事をしていました。僕が生まれる前に亡くなったので記憶はないけど、木に対する思いは自分にもあるし、見ていて飽きがこないんですよ」

結婚以来、アパート住まいだったが、子どもが成長して手狭に。一方、ご両親も70代に入り、一緒に暮らしてはという話がもち上がる。市内に土地を得た一家は、あちこちの展示場を見て回った末、OMソーラーの工務店に白羽の矢を立てた。どこが気に入ったのだろう。

「まず、木など自然素材を使って土地の気候風土に合う家をつくるという会社の理念に惹かれたこと。設計やデザインの面で、こちらの要望に応じていただけるのもいいなぁと。あと、OMソーラーを使うことも条件の一つでした」

設計を担当者は、二世帯住宅ではあるが、生活の場を完全に分離したくないという夫妻の声を反映させながら図面を描いていったと話す。

「お二人のあいだである程度、間取りなどの考え方を固めておられたので、そのイメージをなるべく崩さないよう気を配りながら、いろいろご提案しました」

ゆったりした玄関を入ると、左がご両親の個室。リビングとダイニング、キッチンは右に。ここは一家が集うのみならず、友人を迎える場でもある。

浴室は一つだ。親の世帯と子の世帯とでは生活の時間帯が異なるため、かち合うこともない。家族5人が順番に入浴しているが、まったく問題ないという。

「二世帯がつかず離れず、快適に暮らせることが大事。ほど良い距離感を、と考えたつもりです」(設計担当者)

入居して1年余り。毎日の食事は別々にとり、家族の誕生日など特別な日には食卓をともにする。お惣菜を多めにつくって届け合うなど行き来はしょっちゅうだよねと、奥さまがほがらかに笑った。

自然素材とOMソーラーで年間を通して快適な暮らし

構造材については、柱が天竜の杉と檜、梁が天竜の杉。加えて1階の床にも檜を張った。当初、予算が気にかかる奥さまは「別に檜でなくても」と多少、やきもきしていたらしい。しかし、その思いは住みはじめてすぐ覆された。

「ペンションに来た気分でリビングの床に寝転んでみたら、痛くないどころか気持ちいい。梅雨どきもベタつかないし、時間がたてばたつほどいいものを選んでよかったって実感しています(笑)」

ちなみに、こちらのお宅で用いた構造材は、静岡県森林組合連合会の品質規格基準をクリアした「しずおか優良木材」。地元の木で家を、というご主人の夢は、予想を超えるかたちでかなったといえる。

素材では、木製建具の表具に「大井川葛布(くずふ)」を用いたのも特筆すべき点。河畔に自生する葛の蔓から繊維を取り出して織り上げたのが葛布で、これを透明なガラスで挟みこんだ建具は、光を通す半面、向こう側が丸見えにならない。プライバシーをやさしく守る、すぐれたものだ。

OMソーラーの効果も、期待以上だった。実は、この家ではOMの装置を2台設置している。二世帯ゆえ家の面積がかなり大きく、1台で全体を暖めるのは難しいと判断されたのだ。同社としても初めてのケースだが、結果は大成功。もともと温暖な土地とはいえ、冬はやはり冷える。でも、暖房が欲しかったのは、寝る前と明け方くらいだったそう。夏は夏で、さわやかな風が家のなかを吹きぬける。

ところで、今年の冬は、ヤマボウシやヒメシャラなどの苗を家の前面に植え、合わせてデッキもつくった。庭に緑をという家族の願いは着々と実現に向かっているが、実際にはのんびり過ごす時間がほとんどないとご主人は苦笑いする。

「僕も妻も小学校の教員なので忙しい毎日ですが、ちょうど人生の折り返し点に家をつくることができたような気がして…。子どもは中学に入ったし、両親もこれから老いていくしね。自分としては地域のことをもっと学びたいので、その意味でも同居してよかった、と。助け合って、仲よく暮らしています(笑)」